◆袋井市立図書館

kura-ft

2011年02月17日 07:00

戦後の図書館建築に大きな功績を残す 建築家 鬼頭 梓(きとうあずさ)1950~2008年

前川國男建築設計事務所 時代、神奈川県立図書館・音楽堂、国立国会図書館、世田谷区民会館・区役所等を担当。

鬼頭梓建築設計事務所を設立後、日野市立中央図書館(1973年)は、日本の公共図書館の歴史を決定的に方向付けるほどの影響を多方面に及ぼす。

「身近で平明で開放的な空間」の実現を一貫して追求し「図書館建築のパイオニア」とも呼ばれるようになり、函館市中央図書館(2005年)まで、30を超える図書館の設計を手がける。

そのうちのひとつが
「袋井市立図書館」

伊東忠太設計の可睡斎護国塔建立100年展の打合せのために袋井にみえた 倉方俊輔先生と共に駅前の図書館へと。

改めて見る袋井市立図書館。 コンパクトながら、明るく開放感のある空間は狭さを感じさせない。
天井低めに抑えられた児童コーナーとブラウジングコーナーの吹抜け。そのコントラストが、さらに広がりを印象づける。
道路に向けて大きな開口部のあるブラウジングコーナーは本当に気持が良くて特等席なのだ。

ああ、そうだった! 2階の学習コーナーは、ノートから目を上げると、原野谷川の風景が広がる。なんて気持がいい! この開口部の活かし方。

竣工後23年も経っているとは思えない内部の清潔感、爽やかさ。外装も、自然に街に調和して強く主張することはない。
メンテナンスに費用のかからない仕上げ材の選択。年数が経つにつれ、むしろ周りの風景に溶け込んでいく。 植栽の活かし方、敷地の中に無駄なくそれでいてゆとりを感じさせる配置、道路とのゆるやかな関係・・・

倉方先生のお話しを伺いながら、今まで何気なく感じていた気持ち良さを、改めて建築の視点から見る。
日常生活の中にある公共建築の在り方について考える。
なんて貴重な時間!なんて贅沢!素晴らしいひとときでした。

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袋井図書館:午前9時半~午後5時半まで
水・木曜日は午後7時まで開館(祝日開館の場合は午後5時半まで)

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